「日本の進むべき将来像と国政への提言」

山口 晋

 「意志あれば道あり」、これは私の政治の師、菅義偉総理大臣より頂いた言葉だ。私は、縁があって、官房長官時代の菅総理の秘書を務める機会に恵まれた。秘書にも決して多くを語らない菅総理だが、その姿勢から学んだことは、国民から見た“当たり前”の感覚を大切にすること。そして、国民のためと思えば、信念を貫き通し、既得権益や縦割り行政を打破する突破力だ。
 ある時、菅総理に、「日本の未来のために、どの政策に優先的に取り組むべきか」と質問したことがある。すると、一瞬だけ笑顔を見せ、「やるべき課題は、もう、みんなが分かっていること。大事なのは、やるか、やらないかだ」と短く語った。地方活性化のためのインバウンド政策や農林水産品の海外輸出拡大。脱炭素社会やデジタル社会の実現、原発処理水の海洋放出や不妊治療の保険適用。菅総理が手がけたのは、どれも、分かっていたけど、誰も手をつけられず、先送りが続けられてきた課題ばかりだった。

 私は、この日本を、「子どもたちが夢と希望を持ちながら、祖国を世界に誇れる国」にしていきたいと考えている。先人たちが築き上げてきた古き良き伝統や文化を、多様性や創造性を大切にしながら、次世代へと引き継いでいくことこそが、日本が進むべき将来像だと信じている。
 しかし、かつて「Japan As No.1」と世界から賞賛された我が国も、少子高齢化とともに成長は鈍化し、世界における存在感は低下する一途だ。このまま衰退を続けるのか、もう一度、輝ける国になるか、分岐点にある現在だからこそ、政治に求められる役割は大きい。私は、日本が直面する以下の諸課題に立ち向かっていきたいと考えている。

 第一に、国土強靱化である。先日の熱海市における土石流災害に見るように、近年、我が国における災害の激甚化は深刻さを増している。私の地元である東松山市や坂戸市においても、一昨年十月の台風で、河川の堤防が決壊し、多くの家屋が浸水し、尊い命が奪われた。大切なのは、国、県、市町村が危機感を共有することであり、河川改修や堤防整備などの国土強靱化を連携して進めることである。そして、住民の防災意識を高め、地域にある「危険」を事前に察知し、災害に強い地域作りを平時から構築していくことだと考える。

 第二に、衰退する地域の潜在力を引き出すことだ。我が地元においても、少子高齢化は深刻化しており、それに付随する空き家問題や地域経済の停滞なども浮き彫りとなっている。この状況を改善するために、若者も高齢者も住みやすい地域作りを進め、地域の潜在力を引き出す政策が必要だと考える。具体的には、幼児から高齢者、特に子どもを持つ親が安心できるような包括医療提供体制の充実を図る。そして、自立した地域経済を確立するために、交通アクセスの利便性を最大限に活かしながら、地域雇用の創出を進めていく。特に、私たちの地域には、「鶴ヶ島JCT周辺地域基本計画」が策定されており、産官学の連携でデジタル時代をリードする新たなイノベーションを起こす仕掛けづくりを行う。一方で、比企丘陵の素晴らしい自然や伝統工芸、地域の農産品などを活用し、広域的な人的交流を促進する。

 第三に、世界から尊敬される日本外交の構築である。学生時代にシンガポールに留学し、アジア各国の学生達と寝食を共にした時に強く感じたのは、日本という国への期待の高さだった。特に、台湾や東南アジア各国は、米中対立が激しさを増す今だからこそ、我が国のリーダーシップを期待している。日米同盟を基軸に、「自由で開かれたインド太平洋の実現」を進めるために、自らの経験を活かし、議員外交を積極的に行い、日本がアジアの懸け橋としての役割を果たす外交を展開する。

 最後に、エネルギー政策である。菅政権は、「2050年カーボンニュートラル」を宣言した。世界で脱炭素化の流れが加速する中で、再生可能エネルギーの拡大を目指すことは当然であるが、一方で、エネルギーは経済活動の基盤でもある。私は、東京ガスというエネルギー企業出身者として、化石燃料の高効率化にも光を当てながら、現実的なエネルギーミックスの形を打ち出していく。

 会社員時代の私の座右の銘は「神は現場に宿る」。現場第一の姿勢で、国民の小さな声に耳を傾け、地域のため、国のためにすべきことを決して先送りしない。こうした私のぶれない信念と意志を貫くことで、日本がこの難局を乗り越えることに貢献していきたい。

山口すすむの政策

2021.9.14更新